施工事例
アメリカカンザイシロアリとは|熊本県内での被害と対策について
今回は【アメリカカンザイシロアリ】についてご説明します。
このシロアリは『外来シロアリの被害』ということで新聞やテレビの特番などでご存知の方も多いかと思います。
【アメリカカンザイシロアリ】
アメリカカンザイシロアリの特徴
その名前の通り、アメリカ合衆国をはじめとする北アメリカ大陸に多く生息していました。
過去には日本には生息していませんでしたが、
近年の国際貿易や旅行の増加に伴い、アメリカカンザイシロアリが家具などの物品に付着して、
日本に侵入することがあったと考えられます。
アメリカカンザイシロアリ(アメリカドライウッドシロアリ)は、
アメリカ原産のシロアリの一種で、カンザイ(乾燥した木材)を比較的硬い木材も食べることで知られています。
・『羽アリ』の体長は6~8ミリmmほどで、主に7月~9月を中心に1年を通して日中、不定期に群飛を行います。
色は赤褐色ないし黒褐色
・『職蟻』(写真左)は全体が乳白色。
ヤマト白蟻やイエ白蟻に比べると、ひと回り大きくずんぐりしています。
・『兵蟻』(写真右)の頭部は濃褐色で頭部前方は黒色です。
体長は8ミリ~11mm
アメリカカンザイシロアリの数については、その他のシロアリに比べると少なく、成熟したした巣であっても1000~2000頭程度と言われています。しかし、ひとつの建物の中にたくさんの巣をバラバラに点在して持っていることが多く、その場所の特定駆除は非常に困難です。
※ちなみに、イエシロアリはひとつの建物に基本は巣が1~2個。
ひとつの巣には数万~100万匹以上生息していることも。
発見のポイントは「糞」ふん
【アメリカカンザイシロアリ】の大きな特徴として、発見しにくいことが挙げられます。
【ヤマトシロアリ】や【イエシロアリ】は主に地下から蟻道を作って侵入します。
それに対し【アメリカカンザイシロアリ】は乾燥した状態の木材に直接穴を空け、木材の中に潜り込み、巣を作り始めます。
木材の中に侵入したアメリカカンザイシロアリを発見するために最も重要なことは、その糞を見つけることです。
また、駆除を行う際にも糞が落ちている場所、木材表面の糞が出ている箇所を特定して行くことでアメリカカンザイシロアリの生息場所を特定して行きます。
糞はシロアリの巣から離れた場所に見つかることが多く、被害の程度や進行状況を判断する上で重要な指標となります。
糞の拡大写真
1mmほどの小さな俵状で凹凸があります。
色は濃い茶色から黒色で光沢があります。
予防・駆除の難しさについて
①予防について
アメリカカンザイシロアリを予防することはできるのか?
結論から言うと『完璧に予防することは不可能』である考えます。
アメリカカンザイシロアリは建物のどこからでも侵入し、巣を作ることが可能です。
建物全ての木材に対して、【予防効果のある薬剤】もしくは
【ホウ酸系の防蟻剤】(エコボロン)などで処理することは物理的に不可能だからです。
仮に建物が新築中の場合、骨組みの状態で処理を行ったにしても、
壁や天井などの下地材やフローリング、窓枠やドア枠といった部分まで処理を行うことはできません。
また、【予防効果のある薬剤】については、効果が5年程度となっているものが多いため、
壁や天井内については再処理を行うことができません。
どうしても、アメリカカンザイシロアリの予防を建物全体に行いたいということであれば、
新築建築中に防蟻効果が長期間減滅しないと言われている【ホウ酸系の防蟻剤】をお勧めします。
②駆除について
基本的には糞や被害を発見した時点で、早急に駆除を行うことが一般的であると考えられます。
駆除について、海外では燻蒸処理(建物全体をシートで覆い、専用の加熱燻蒸器を使って駆除する)などが有効として用いられています。
しかし、日本では住宅環境や安全面の観点から燻蒸処理は困難であるため、
木部処理への穿孔注入処理・塗布・吹付処理で行うことが一般的です。
先ほどの説明のとおり、アメリカカンザイシロアリは生息場所を発見することが非常に難しいため、駆除を行う際には壁や天井などをはがして、柱などの木材が完全に見える状態で徹底的に行う必要があります。
アメリカカンザイシロアリは少数でも巣を存続させることができるため、数匹たりとも生存させない心構えで臨まねばなりません。
しかし、お住まい中の建物の壁や天井を全てはがすことは、
いくら駆除のためとは言ってもやはり現実的ではありません。
よって、アメリカカンザイシロアリの駆除を行う際には
乾材シロアリの総合管理システム
に基づいて、長期にわたって駆除と経過観察を繰り返し行っていくことになります。
システムのおおまかな流れ
①事前の調査
②防除(駆除)処理法・範囲の選定
③実際の駆除作業
④糞の清掃
⑤施工の記録
⑥定期点検・再侵入の調査
まとめ
【アメリカカンザイシロアリ】は非常にやっかいなシロアリであることはお分かりいただけたかと思います。
熊本県内でも複数例の被害が報告されており、
今後も生息地域が広がって行く可能性はあります。
【アメリカカンザイシロアリ】は被害を発見すること自体が非常に難しいシロアリです。
発見のポイントは、途中でもお話しましたが【糞】を見つけることです。
もし、似たような糞が見つかった場合はお気軽にご相談下さい。