施工事例
建物の床下に薬剤をまかない「外周処理工法」でシロアリを予防!
一般的に白蟻予防によく用いられるのが『バリア工法』と言われる施工の方法です。
それに対して、初めてお聞きの方も多いと思いますが、
今回は『外周処理工法』と言われるシロアリ予防の方法について解説させていただきます。
目次
外周処理工法とは
まず、『外周処理工法』って何?というところからになりますが、
①『バリア工法』→ 床下などに薬剤を散布してシロアリ予防する一般的な工法
5年間上限1000万円までを保証
②『外周処理工法』→ その名前の通り、床下には一切薬剤を使わず、建物の外周基礎の土壌(地面)に沿って薬剤を散布してシロアリを予防する工法
5年間上限500万円までを保証
という大きな違いがあります。
↑ (左)バリア工法 と (右)外周処理
この図の赤線部分がシロアリの薬剤を処理する部分になります。
建物外周の土壌に薬剤が安定して残ることでシロアリの侵入をブロックします。
では、どういった場面で外周処理工法を使うのが良いのでしょうか?
そもそも、外周処理工法を用いる場合には以下の3つのうち、いずれかに適合することが条件とされていて、この条件に当てはまらない建物には『外周処理』を行わないというのが原則となっています。
施工の条件
①床下に基礎断熱工法が用いられている建物
吹き付けられた断熱材によって、床下基礎の表面がおおわれてしまい、必要な部分への薬剤散布ができない状態になっています。
どうしてもバリア工法で施工したいということであれば、必要な部分の断熱材を広範囲にはがす必要があるため現実的ではありません。
②床下の空気を室内にも循環させる構造の建物
床下などに設置された機械によって、ダクトを通して強制的に床下や壁、天井そして室内にも空気を循環させる建物になります。
この場合で床下に薬剤を散布した場合、室内にもその空気が循環され、薬剤による万が一の健康被害を防ぐため『バリア工法』は適していません。
※バリア工法に使用する薬剤の中には安全性が極めて高いものもありますが、あくまで万が一を想定しています。
③床下の全範囲に進入することが困難な建物
(標準仕様書に基づく防除施工ができない建物)
建物の床下にせまくて入れない場合など物理的にバリア工法を施工できない建物になります。
以上の条件のどれか1つでも適合した場合のみ『外周処理』を行います。
また、もうひとつの条件として【白蟻予防】のみに施工することが可能とされています。
もし、現状で建物内にシロアリの発生がある場合(駆除の場合)は外周処理は使えないことになります。
薬剤の指定
外周処理工法を行う際は、使用する薬剤についても指定があります。
理由としては、大雨などによって薬剤の成分が流れてしまっては長期間、シロアリから建物を守ることはできません。
したがって安定して土壌面に薬剤が残留し、強固な土壌処理層を形成することが可能な薬剤に限定されています。
指定されている薬剤については2種類をご紹介します。
①ターミドールHE
BASFジャパン株式会社 ターミドールHE
②アジェンダSC
バイエルクロップサイエンス株式会社 アジェンダSCについて
※各薬剤の詳しい説明は製造元のホームページをご確認ください。
施工方法
外周処理では次のよう方法で施工を行っていきます。
ここでは簡単にその流れを説明します。
①ロッジング処理(土壌注入処理)
外周がコンクリート・土間の部分に関してはドリルで穴(直径5ミリ)をあけます。
穴は約45cmの間隔で空けていきます。
コンクリートを貫通した部分から、特殊ノズルにて既定の薬剤量を土壌に注入します。
薬剤を注入後は穴埋めを行います。
玄関周りなどタイルが張ってある箇所は、タイル目地の部分に穴あけを行います。
②トレンチング処理(溝処理)
外周が土の場合は溝を掘っていき、掘った部分に薬剤を流し込んでいきます。
人工芝をめくって、その下の土を基礎沿いに掘っていきます。
溝の幅は10cm、深さ5センチ程度の溝を掘ります。
溝に薬剤がたまるように散布して行きます。
薬剤散布後は、土を戻して元のように復旧します。
建物外周を囲む形ですべてに処理を行います。
コンクリートの隙間などは入念に処理します。
外周処理の流れは以上ですが、
建物外周の状況によっては処理方法が変わりますので、詳しくは施工前にご説明をさせていただきます。
次に外周処理工法のメリットとデメリットについて確認したいと思います。
外周処理工法のデメリット
・白蟻予防のみに施工可能(建物内に白蟻の発生がある場合には使えない)
・『バリア工法』に比べ、費用が高額になる
・外周がコンクリートの場合に穴を空けなくてはならない
・保証額が最大で500万円まで(バリア工法は1000万円まで)
・薬剤を選ぶことができない
・近くに井戸や養殖池、地下水などを汚染するおそれのある場所では使えない
外周処理工法のメリット
先に述べたようなデメリットはありますが、これまで『バリア工法』での予防工事ができなかった建物に対して施工できるメリットは非常に大きいように感じます。
また、費用面を考えてみても
【安い】バリア工法<外周処理工法<ベイト工法【高い】
というのが一般的なので選択肢が増えることでのメリットは費用面でも十分にありそうです。
施工業者について
今回ご説明させていただいた『外周処理工法』については、
全てのシロアリ業者が施工できるというわけではありません。
ご依頼の際には、その業者が施工可能な業者かどうか、また保証面についても必ずご確認ください。